トレーニングって必要?
...と、よく聞かれます。答えはもちろん『必要』です。
皆さんの多くは、トレーニング=「オスワリ」や「フセ」を教えることと考えていると思います。もちろん、トレーニングでは基本的なコマンドは教えます。でも、その動作ができるようになることは、実はさほど重要ではありません。犬が飼い主さんの言葉を理解できるようになること、そして、飼い主さんも犬の言葉を理解できるようになること、その方がよほど重要です。トレーニングはそのための時間と考えてください。
トレーニングをすることは、 “犬と人がお互いを知る” のに、とても良い時間の使い方だと思います。トレーニングをしていく中で、犬たちは私たちが使う言葉を、私たちは犬が使う言葉、ボディーランゲージを知ることになります。これがコミュニケーションを取るための最初のステップです。お互いの言葉の理解が深まれば、自然と双方向の意思疎通ができるようになり、コミュニケーションが生まれます。しっかりとコミュニケーションが取れるようになれば、お互いに、相手の行動や反応の意味が理解できるようになってきます。意味が分かれば対応方法も自ずとわかってきます。
トレーニングは、上記のようにコミュニケーションスキルを磨く1つの方法です。そしてもう1つ、トレーニングはメンタル面の良い刺激となります。ただコマンドに機械的に従わせている・・・だけでは単なる反射になってしまい、良い刺激には物足りません。犬に私たちが出すシグナルの意味を考えさせ、自ら行動を起こさせることで、犬のメンタルには良い刺激になります。雨で外に出られない、暑すぎて外に出たら熱中症になってしまうという時には、家の中で頭を使うトレーニングを行うことは、とても良い気分転換となると思います。また、シニア世代の犬たちにとってメンタル刺激は、健康を保つためにも、痴ほう予防にも、効果的だと思います。
シニアになっても新しいことにチャレンジすることは、健康面にも、脳の活性にも良い刺激になりまよ!
トレーニングは楽しくなければ意味がありません。飼い主さんもワンちゃんも楽しく、そして想像力豊か行うことで、効果的なトレーニングを行うことができると思います。“コマンドに従わせるため”ではなく、“いつまでも健康で、楽しく生きるため”にトレーニングをしてみませんか?!
では、人間の社会については誰が教えるのでしょうか? それはもちろん飼い主さんです。犬からすると、人間社会のルールは不思議がいっぱいなんだと思います。
- 「なぜヒモ(=リード)を着けて歩かなきゃいけないの?」
- 「なんで変な音(=チャイム)が鳴ったのに、みんなにお知らせ(=吠える)しちゃいけないの?」
- 「なんで目の前に転がっているモノ(=例えばスリッパ)を噛んだらダメなの? 噛み応え良いよ?!」
- などなど... ... ...
犬は人間社会に関しては何も知りません。だからこそ、1つ1つ、人間社会のルール、さらに飼い主さんご家族のルールを犬がわかるように教えてあげなければなりません。犬が理解できていなければ、教えたことにはなりません。しっかり教えて、身に付けさせて、犬社会からも人間社会からも受け入れられる犬に育てることは、飼い主さんの義務です。
犬のいる生活の楽しみ方
日々の生活の中で、犬たちが私たちに運んでくれる最大のプレゼントは『笑顔』ではないでしょうか。犬たちがする可愛らしい仕草を見て、尻尾をちぎれんばかりに振りながら出迎えてくれた姿に、情けない顔や姿を見て思わず ・・・と、様々な場面で私たちに笑顔のプレゼントをしてくれます。しかし、そんな笑顔のプレゼントを受け取れるのは “健康なココロとカラダがあってこそ” ではないでしょうか?
そこで質問です。
- ワンちゃんは “ココロ” も “カラダ” も健康ですか?
- 飼い主さんの “ココロ” と “カラダ” は健康ですか?
- ワンちゃんは飼い主さんとの生活、飼い主さんはワンちゃんとの生活を共に楽しんでいますか?
重要なポイントは飼い主さんもワンちゃんも“共に生活を楽しんでいる”ということです。どちらか一方だけが楽しんでいて、もう一方が我慢をしているという状態ではない、ということです。みなさんはどうでしょうか? ワンちゃんの行動に振り回されて悩んで落ち込んでしまっているということはありませんか? ワンちゃんが、飼い主さんの(犬から見れば)理不尽な言動に振り回されてストレスを抱え込んでしまっているということはありませんか? どちらの状態も“ココロとカラダが健康な状態”とは言えませんし、“共に生活を楽しんでいる”とは言えません。では“共に生活を楽しむ”ためにはどうしたら良いのでしょうか?
- 犬を知ること・理解すること
犬は、私たち人間と違う世界を持っています。コミュニケーションの取り方も違えば、その解釈も違います。まずはお互いの違いを知り、理解する必要があります。犬たちは人間社会にやってきた異国人です。上手に人間社会に溶け込めるよう、飼い主さんは犬たちが理解しやすい方法で、正しい方向に導く必要があります。 - 犬の個性を認めること
「犬なんてみんな同じでしょ!」「犬なんだか○○できるでしょ!」という型にはまった見方をしないで下さい。犬たちは私たち同様、それぞれが違った個性を持っています。その個性を認めてあげることはとても大切です。そうすることで、今まで “理解できない行動” もしくは “問題” と思っていたものが、その子独特の自己表現であったり、問題解決の糸口かもしれません。飼い主さんの受け止め方が変わるだけで、ワンちゃんに対する視野が広がります。ワンちゃんたちは自分を受け入れてくれた飼い主さんを信頼するようになるでしょう。
- 共に健康であること
飼い主さんの健康状態がワンちゃんの健康に影響を与える、またその反対に、ワンちゃんの健康状態が飼い主さんの健康に影響を与えることはままあります。(ここで言う「健康」とは、“ココロ”と“カラダ”の健康です。)特にこころの健康はお互いに影響を与えやすいように感じています。また、どちらかが我慢を強いられ、ストレスを感じている状態は、お互いにとって “健康的な状態” とは言えません。どちらか一方ばかりが荷物を持つのではなく、その荷物を分け合いましょう。そうすることでストレスレベルは下がるはずです。“お互いが心身共に健康であること”、これが犬との充実した生活を送る上での必須条件です!
“健康な状態”とは“病気をしていない状態” ではありません。 “健康”とは『より充実した、満足のいく生活を送っている状態』を指します。飼い主さんとワンちゃん、それぞれが「健康」に過ごすためには何が必要なのか?
- 「犬との生活」のストレスを減らす
- 犬の行動を理解することで、飼い主さんが抱えるストレスは軽減されるでしょう
- 飼い主さんのストレスが減ると、ワンちゃんのストレスも自然と減っていきます
- 「犬との生活」を楽しむ
- 「できないこと」ではなく、「できること」に注目してください!
- ポジティブなもののとらえ方をすることで、飼い主さんは明るく楽しい、そして時にはおちゃめな『犬の日常生活』を垣間見ることができます。犬との毎日は新しい発見の連続です。ワンちゃんの新たな才能を開花させてみてはいかがでしょうか?!
- 「犬との生活」を自然に送る
- 毎日の生活は “自然体” が一番! がんばりすぎ、気負いすぎ、考えすぎ・・・○○すぎ!はダメ!!
- がんばる時は、ガンバル! あとは自然に!! そんな付き合い方がワンちゃんとの適度な距離を保つ秘訣です